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第六章 川流れ地蔵さん (出)  

              

                     第六章 

                  川流れ地蔵さん
 

こんな話を聞いたことがありますかいの。

地蔵さんは、村の辻、町のかど、道ばたなど、あち、こちに

立ってなさるが、昔はな、ここらあたりの地蔵さんは

みんな、西の葛城山のひとところにかたまって

いなさったそうな。


頭痛なおしの地蔵さん、歯痛おさえの地蔵さん、

クサやデンボちらしの地蔵さん、

不事、災難、厄よけ封じの地蔵さん、など、など、

葛城山の中腹の山あいで、役に立つ出番をまっていなさった

というわけや。


いちばんの心配は、この石でできた重いからだを

どのようにして大和国中まではこんでいくかということで

地蔵さん達で相談なされて、おきめなされた案は

夏から秋の出水の時に、その流れの力を借りて

里ヘ出て行く方法やった。


さて、ある夏の終わり、秋も初めの台風でどえらい雨が降り

谷川がせきを切ったように流れ出したので

地蔵さん達は待ってましたとばかり

いまいけ、それいけ、やれいけと水にまかせて

大和国中にむかってくり出されたんやがな。



歯痛をたすける地蔵さんは、葛城川に身をまかせて

ごろん、ごろんと流れながら

どこでとまろうかと、うかがってなさると

歯痛で、わいわい泣いて母親を困らせとる子供の姿が

目についたんで、「ようし、ここだよ」と、そこの岸ヘ

とまらっしゃつた。



ここで村の衆に拾われなさったのが、出村の西のはずれの

つつみの道ばた、橋のたもとの地蔵尊やそうな。



それから、おんなじあの時

住吉川ヘ流されなさった地蔵さんは

吉井の村の人が拾いあげて、子供の病気封じの

地蔵尊としてまつったことなんやで。



これが、つまり、川流れ地蔵さんのお話ですわな。





※本文と絵は大和高田の民話絵本より。
歩く人 高田の民話と伝承の郷、11ヶ所を訪ね歩いてきました。

   1話づつご紹介いたします。






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