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第三章 水がわいた( 有井 )

          

                      第三章 

                    水がわいた



そうそう、それは千二百年ほども前のことや。

真夏の焼けるようなお日様がじりじりとこげつくとうに暑い昼下がり、磐園の里に1人のみすぼらしい、お坊様が杖をひきながらやってきなさった。

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「のどが、かわききってどうにもならんでのう、水を一杯めぐんでくだされや」こういうてお坊様は、とある家の門口に立たれたんや。

すると、そこの若い嫁ごが出てきて

「そりゃまあお気の毒に、でもお坊様、ここは水なし村と呼ばれるほどに水のない所、水は命とおんなじに大事やということで、

水がめに蓋がしていて錠がかかり、鍵は主のおやじ様が持ってなさるので、どうにもなりませぬ。

どうぞかんにんしてたもれ」と、うったえるので旅のお坊様は仕方なくまた、とぼとぼと歩きだされたのよ。

「お坊様、旅のお坊様、お待ちなされませ~」

と、いう声にふり返ると、さっきの家の若い嫁ごが、追うてきて

「お坊様、水はあげられませぬが、お背戸のまたたびの木の実をさし上げまする。これでのどをいやしてくださりませ」

と、さし出したその実を、お坊様はおしいただき、口に入れられたところのどのかわきはなおり、元気をとりもどされたんや。

「ありがたや、ありがたや、これで命がもちまする。
ここは水ない水なし村、助けていただいたお礼に、ようく水のわく井戸を堀りあてて進ぜよう、こちらヘきなされ」

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こういうと、お坊様は、若い嫁ごをすぐそばの辻の横へ呼び、杖の先で足元の土をトントンと何回かたたいて穴をあけなさると、

あらあら不思議きれいな水がこんこんと湧き出したやないか。

img0275.jpg 水がわいた

これが今も残る名高い井戸で、村人はやかたを作り大切に伝えているもんで、この村を、井戸が有るので有井、有りがたい井戸ができたので有井、というようになったとか。

あのお坊様は、どうやら、高野の山の弘法大師さまだったそうやで。

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※本文と絵は大和高田の民話絵本より。
歩く人 高田の民話と伝承の郷、11ヶ所を訪ね歩いてきました。

   1話づつご紹介いたします。

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