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第五章 故郷恋しと泣いたつり鐘(本郷)

           


                        第五章 
   
              故郷恋しと泣いたつり鐘




こんどは、つり鐘にも心があるというお話を聞いてもらいまひょ。

高田のまちのほぼまん中に、今は埋め立てで小そうなったけど、馬冷池というのがあって、その池のすぐ東がわに、大日堂、不動院というお寺があるのを知ってかな。

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さて、昔、ここの檀家のお百姓衆がある年の秋のこと、米が不作で年貢がおさめられず、毎晩寄って相談したもののどうにもよい思案がうかばず、

おもいあまって、この寺の和尚さんにそのことをうちあけたところ、じっと考えなさっていた和尚さんは、

「もうこうなれば、この寺のつり鐘を売りなされ、ここのつり鐘は、みなさんの御先祖が寄進なされたもの、子孫のみなさんの難儀が助かるんら、きっとご納得くださるやろ」


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こうして、ここのつり鐘が売られていったさきは、郡山のまちの高田口のお寺やった。

ところが、ここへついてからの、このつり鐘は、中和の高田が恋しいと、毎晩、うわん・うわんと泣いて故郷を見たいとせがんだそうな。

困った、ここの住職さんは、このつり鐘を世話してくれた道具屋に、「なんとかならんかの」と相談なされたのや、

それならと、この道具屋は方々をあたり、こんどは山城の国の高田というところの、お寺に買われていってしもうたのよ。           

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でもな、ここへ移っても、このつり鐘は、

「大和の高田が見えん、もっと高いところがええ、ふるさと恋しい」と、泣くもんで、ここのお寺も困りはて、

故郷恋しと泣いたつり鐘

檀家の衆に集まってもろうて、知恵を出し合うて考えついたのが、このつり鐘にきざんである、大和の国高田大日堂不動院という文字をけずり取ってしまう案で、

さっそく、それの職人にたのんで、文字をなくしてもろうたところ、

不思議や、その日から、つり鐘は泣くことも、わめくこともせんで、おとなしいつり鐘になり、

その寺と、その土地のお役に立ったということや、よかったな。
 

それにしても、カネでできた、つり鐘にも、心や性根があるとは、人間のみんなも、ようく、心得なきゃいかんことや。

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高田証菩提寺不動院は、本市唯一の重要文化財です。
となりには文化会館・さざんかホールが建っております。



※本文と絵は大和高田の民話絵本より。
※写真の一部は、市役所資料より。
歩く人 高田の民話と伝承の郷、11ヶ所を訪ね歩いてきました。

   1話づつご紹介いたします。

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